*邂逅

3/6
前へ
/44ページ
次へ
   人間が誕生して数万年あまり。  彼らはまだ若く脆弱なれど、驚くほどの繁栄を成している。  数多(あまた)(いくさ)を繰り返し、血を流し、自分たちの住処を広げている。  好戦的であるがしかし、穏やかでもある。  彼らはこの世に誕生したばかりで若いのだ。混沌とした時代が必要なのだろう。  他の種族もそれなりに多くのものと戦い、住処を確立してきた。  人間のそれは多大なれど、それもまたこの世の(ことわり)である。  ──それも落ち着いてきた頃、世界は次の段階に移るべく古の種族たちは徐々に衰退していった。  その先頭を切ったのは最も古い種族「ロデュウ」であった。  彼らは人間と似た容姿ではあるが強力な魔法を()り、その生命はエルフよりも長い。  しかれども、それ故におおらかな性格が災いしたのか、自然の淘汰に抗うことなく滅びてしまった。  人間にかまけている間にロデュウはいなくなってしもうた。こんなことなら、もっと接していれば良かったと口惜しさが募る。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加