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「ちょっとっ、なんであんな嘘つくんですかっ? 女の子たち怖がっててかわいそうじゃないですか」
「ばーか、嘘じゃねぇよ。お前が女子と一緒に撮った写真には、もれなく俺の生き霊が写るんだから」
「なにバカなこと言ってんだ」
「マジだぞ。嫉妬に駆られた俺の生き霊顔、こえぇぞー」
「は?」
隣に並ぶ横顔を見上げれば、ムッと口を結んだ逸也がいる。もしかしてこの人さっきから。
「細いうなじとか、ちっさい尻とか。いちいち色っぽい浴衣姿のお前は目立つんだよ。あの子たちのほかにもさぁ、アチコチから日向に熱視線が飛んでんの、わかってねぇだろ?」
帰り道に飛んできたいくつもの熱い眼差しのなかには自分あてのものもいくつか含まれていたんだ。と、知ったこところで嬉しくもない日向だったが。
「で、嫉妬に駆られて不機嫌なんだ?」
「うるさい」
ぐいっと腕を引かれてつんのめりながら、日向の頬がゆるゆると緩んでくる。女の子にモテたって嬉しくない性癖なのに。そうだよね、この人、とんでもない焼きもちやきだった。
「イチさんだって女の子たちに囲まれてキャーキャー言われてたくせに」
「俺はなぁ、トキタの広告塔なの。世の女子たちは俺の魅力よりもうちの惣菜の魅力を知るがいい」
なんだそれ。
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