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あかねには笑ってみせたけど、やっぱり優勝したかったのかな……。なんて考えながら広い背中を見つめていると、すれ違った浴衣姿の女の子たちに声をかけられた。
「あのー、もしかしてイケメンコンテストに出てた人ですよね?」
振り向いた逸也に弾けるような歓声があがる。
「きゃー、間近で見ると更にイケメーン!」
あっという間に逸也は輪の中心になってしまい、まるで有名人の囲み取材みたいだ。女の子たちの勢いに圧倒された日向は離れた場所にたたずんで、キラキラした集団をぼんやりと見つめていた。
「あのぅ……」
自分にかけられた声だとは気づかずにいたから、肩を叩かれて飛び上がるほど驚いた日向の後ろに、別の女子二人組がもじもじと立っている。
「あ、あの、写真、いいですか?」
女子の手にしたスマホを見て、ああ逸也との記念写真のカメラマンを頼まれたんだと思った日向は、「いいですよ」と手を差し出した。その仕草に女子たちは不思議そうな顔をする。
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