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「あ、えっとえっと、一緒に撮ってほしいんですけど」
「だから、イチさんとでしょ? いいですよ、どれがシャッターボタン?」
「違くってー」
もじもじ顔を赤らめた女子の様子に、自分と写りたいんだと悟った瞬間、伝染したように日向の頬も朱に染まる。
「え? 俺? な、なんで?」
「イケメンコンテストの会場にいましたよね? うちら、ステージの人たちより白い人のほーが断然イケメンだよねーって盛り上がってて」
「白い人?」
「あの、浴衣が……。なんか清楚系男子って感じで似合ってて、すっごく素敵です」
「黒髪がいい」だの「目元が涼しげ」だの次々出てくる称賛の言葉に呆然としていると、キラキラ女子から離れた有名人がにゅっと日向の肩を抱いた。
「あ、こいつねぇ、憑依体質っていうの? 常になんか連れてる体質だから、写真撮るとそういうのも写っちゃうよ?」
「イチさんっ?」
まったくのデタラメ情報に女子たちが後ずさると、ふたりはその場を逃げ出した。
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