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あえぐ声すら出ないほど陶然とした日向に、逸也が心配そうな声で顔を寄せてくる。
「大丈夫か? 苦しい?」
ふるふる首を振る様子に安心した逸也の首もとへ腕を絡ませた。胸と胸が合わさって。こめかみに逸也の頬が押し付けられて。でももっとくっついて混ざりあいたい。境い目なんかなくなって、いっそ逸也の一部になってしまうくらい。
「ヤバい。ひなた。気持ちいーよ。すっげえ気持ちいい」
「ん、好き。イチさん、好き」
「俺も。ひなた、好きだよ。好き、大好き。ずっとこうしていたい」
「うん、うん」
「チンコだけじゃなくて、全身でお前んなかに入りたいよ。ひなた」
こぼれる言葉だけでなく、逸也が体ごとそう思っていることが、穿つ体温や脈動で伝わってくる。同じ温度でタイミングで、同じだけ互いを欲していることが嬉しかった。
そう伝えたかったけれど、高みは同時に訪れた。摩擦でそこが発火するんじゃないかと思うほど激しく強く揺すられて、灯った熱情の炎に炙られながら頂へと駆け上がるような。
「う、あ。なぁ、俺いく。いくぞ」
「きて。あ、イチさんっ……」
きつくきつく抱き合ってすべて解放した瞬間、心も体もなにもかも混ざりあった気がした。
「す……げぇ好き、ひなた。ぜんぶ好きだよ」
混ざりあっていた、きっと。
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