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 すでに敷いてあった布団に、倒れるよう座り込んで膝を抱えた。逸也の体温で温まった場所が、室温にさらされてひんやりとする。ひんやりするけど、あたたかい。 「ふぅ……」  意識は朦朧としつつもしっかりと感じていたあの日の逸也の腕のなかを思い出してしまい、心がざわざわ波打った。それに連動するように、下半身がむずむずと落ち着かなくなる。  やわらかな髪の感触とまっすぐ延びた鼻梁の先の肉厚な唇。あごから喉仏の男性的なライン。まくったシャツから覗いた筋肉の硬さ。  溜まってくる熱をふりはらうように日向はふるふると頭を振って布団へ突っ伏した。昭和っぽい花柄のカバーがかかった布団が古さを感じさせないほどふんわりと膨らんでいるのは、逸也が普段からちゃんと手入れしていたせいで、それがなんだか切なかった。
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