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「す、すみ、ません……あの……、俺はいったい……」  体を起こそうとつきかけた若者の腕を、逸也は慌てて抱え込んだ。 「バカやろう、ガラスが飛び散ってんだ。怪我するぞっ」 「あ……」  抱えられた腕のなかで若者はまたへなへなとプレスアップフィギュアのように脱力するから、逸也は彼の膝裏に手を入れて立ち上がった。 「お! お姫様だっこ! イチ、かっこいいっ!」  やいやい盛り上がる巧を無視して調理場を突っ切ると、奥にある四畳半ほどの畳敷に若者を下ろし、昼寝用に置いてあった毛布をかけてやる。なにか言いたげに逸也を見上げた瞳は、口を開くより先に落ちるように閉じられてしまった。
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