序章【異世界への切符】

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「よし、これを片付けて…うおっ!ホコリ臭ぇな!」 物置の奥を崩しながら何かを探す彼の名は、 アマガミリュウヤ 天神竜夜。 高校2年、後期生徒会副会長、 バスケ部エース。 東京の貸家に住んでおり、物事を一気に考えてしまうのが癖である。 「ん、これか。」 彼は段ボール箱を取りだし、中身を確認しようとそれにある裂け目を開く。 ホコリが一気に空を舞った。 「ぎゃあああああ!目、目が!」 それからフラフラ、周りを徘徊。 視界が戻ると、物置がかなり悲惨な状況になっていた。 「うう…これを片付けるとなると…」 腕時計を見ると、時は既に七時半を指していた。 「腹…減ったな……」 俺は急いで物置を片付けると、先程の段ボールの事などとうに忘れ、荷物を持って学校を出た。 駆け足で駅へと向かう。 帰宅ラッシュの電車内で、ゲームのBGMを聴きながら自分が降りる駅を待った。 ………どれ程時間が経ったのだろうか。 時計は……11時を指している。 「えっ……」 こんな時間まで眠っていたのか。 そう言えば最近ろくに睡眠を取っていなかった。 「まさか、暇人駅を通り過ぎて…いや、待て。この時間にこの帰宅部列車が走っている筈は無い………」 まさか、あれか。 2ちゃんとかで良く聞く恐ろしいあれか。 ヤバい。どうすれば良いのか。 「ふぉふぉふぉ、そこの君、何やら大変そうだねぇ……」 何だこの爺は。どこかで見たことがあるような気もする。 「今は何時ですか?」 俺は爺に問いかける。 どうせボケてるだろうし、ろくな答えは帰って来る事は無さそうだが。 「どれ……26時だよ。」 ほらな。予想通り。 理解不能だ。 その時だった。 アナウンスが電車内に響き渡ったのだ。 「次はぁ、ツェリ駅ぃ、ツェリ駅ぃ。お降りの方はぁ、お忘れ物の無いよう、ご注意下さい。」 あの車掌とかの独特の喋り方はいつも通りだった。 そのままどうしようも無く、俺は電車から出た。 大丈夫だ。恐らく公衆電話くらいならある筈。 俺は弁当を買おうと、売店らしき所に向かった。 随分質素な売店だ。光源がロウソクとは、な。 「いらっしゃいませ。」 「うーん、その牛肉弁当を一つ下さい。」 値段が良く分からない。 通貨が違うのか?国内なのに。 「取り合えず…10円。」 10G、と書かれていたのでしっかり十円玉を渡した。すると。 「何だい、この硬貨は。」 「は?」
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