蒼い服を着た神さま

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  「俺に楽隠居させたきゃビッグエアーの表彰台は絶対外すな」 「ハーフパイプは」 「去年より混戦が見込まれる。一次予選から気を抜くな。昨日の2本目、ちょっと緩んでただろ」 「っっ」 「リラックスするのはいいけど侮るな。やっぱりおまえは他の選手は見ない方がいい。下手に自分や俺の研究してるから目が肥えてるんだ。いやらしい奴め」 エラい言われようだけど言い当てられてる。昨日は確かに気を抜いたと思う。抜いてそれでも飛べた自分に満足感もあった。 そうだよな………ホントいやらしい、嫌な奴だ。心を入れ替えよう。 「二度と気を抜かない。侮らない。他の選手も見ない」 「素直でよろしい」 「でも、柊のランは見ていい?」 「…………」 「ねえ、いい?」 「おまえ……ホンット俺のこと好きだな」 「うん、もちろん」 照れて頬を少し赤らめた柊が、腕を広げる。 「おいでっ」
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