311人が本棚に入れています
本棚に追加
柊と2人だけで歩くロウアータウン。
前よりくっきり、ずっとはっきり鮮明だ。石造りの坂の街。窓辺にはクリスマスの装飾、そこここにモミの木。
「EXTREMESが終わったらウィンターカーニバル見に来ようなー」
「ウィンターカーニバル」
「世界三大雪祭り。パレード、雪像、犬ぞりレース、あと、アレ、ボノムが練り歩いてる」
柊の指差す窓辺に、スノーマンぽいけどなんか違う、赤い帽子を被ったゆるキャラみたいな人形が飾ってある。
「今、可愛くねーって思っただろ」
「……………」
「それカーニバル中は思っても言うなよ?絶対な?俺は忠告したからな?」
「なんだよ意味深に」
「HAHAHA!」
「うわムカつく」
雪景色に一際映える黒いコート。淡い茶色の髪。何をどうやっても素敵過ぎる。動悸がするほどカッコいい、柊は俺だけの男。手を繋ぎたいけど、やっぱり我慢。
「寒い?」
「全然平気」
プチ・シャンプラン通りを柊の少し後ろについて歩く。そのうち柊が歩調を緩めて寄り添い、指を絡ませてきた。
「外なのにいいの……」
「ちょっとだけ」
最初のコメントを投稿しよう!