蒼い服を着た神さま

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  ヨーロッパ調の街並みに可愛い外観のカフェ、ショップ。ちょっとした裏通りはやっぱりハリーポッターの世界みたいでときめく。今日は前に来た時よりずっと歩いて、セントローレンス川までやってきた。 柊は、カナダに来たら俺と2人でたくさん歩きたいって言ってくれてた。バンクーバーでも時々一緒に散歩とかランニングするけど、どこまで行っても住宅街って感じで趣きはないと思う。都会も人ごみもやっぱり苦手だけど、ダウンタウンとは違って落ち着くし。きっと柊もそうなんだろうな。 「トイレ行ってくるからここで待ってて」 「一緒に行く」 「イヤ。う◯こする時はタイチが近くにいると落ち着かない」 「嘘ばっかり!」 「HAHAHA!」 なんだあの笑い方。ブームなのか。まあどーでもいーわ。 「寒……」 11月下旬……日本はどうかな。毎年暖冬だ異常気象だって騒いでるけど、碓氷村にはもう雪が降ったかな。竜の背(ジャンプ台)の骨組みはもう、雪に隠れてるかな。毎年雪が積もったら、最初にあそこで飛ぶのは俺だった。ギャラリーは親父含めた組合のおっちゃん達と雄星達子ども数人。外では飛べなくても、みんなに優しく見守って貰えて、それだけで嬉しかった。あのまま、小さな幸せで満たされたまま、村の中で朽ち果てる予定だったのに。思えば遠くへ来たもんだ。 「お待たせー」 「長すぎー」 「長いからう◯こなんだ」 「綺麗な顔してうん◯うん◯言うな」 「じゃあち◯こ」 万年肛門期か。
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