蒼い服を着た神さま

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  「次はどこ行く?」 「崖の上」 「ドッキリ撮影したとこ?」 「そう、あっちにも見所がいっぱいあるから」 「じゃあ腹ごしらえ」 「そんなの持って来てたの?重かっただろ」 食べられるものがあるのか気を遣いながら店に入るより、ベンチに座っておにぎりと味噌汁の方がいい。サーモスの保温容器はホントに優秀で助かる。 「寒くない?」 「寒さに強いのが取り柄だからな。あ、可愛い麩が入ってる。ぬくいーあったまるー」 「おにぎり、こっちが鮭で、こっち梅。朝ごはんとほぼ一緒のメニューでごめん」 「全然。超幸せー」 外国の観光地で、おにぎりを頬張る男2人と言うのもシュールなんだろうけど、柊となら少しも気にならない。 「いい天気で良かった」 アッパータウンに向かう道程も、柊は時々手に触れてくれる。 見覚えのある通りからやっぱりケーブルカーに乗って、見晴らしのいいテラスを歩いて。空には少しずつ厚い雲が増えて行く。 「雪降る前に帰らないとねー」 「あとひとつだけ、タイチと行きたい所があるんだ」 柊の表情が今日はずっと落ち着いてる。そうすると俺も自動的に落ち着く。西川さんが言った一心同体ってこんな感じかな。いや、あれは飛ぶ時の話か。いずれにせよ、柊と繋がっていられるなら幸せ。何もかも全て、2人で分かち合っていたい。俺ってやっぱり貪欲だ。
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