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撮影は続いた。ハーフパイプ向きの技だけど、わかりやすくて派手だからと、メソッドは何本か飛ばされた。それでももう足が竦むことはなくて。着地で何回か失敗したけど卑屈に思うことなく、不思議なほど落ち着いていられた。いくつものカメラもたくさんの視線もそのうち気にならなくなった。
合間に渡さんも撮ってくれる。渡さんの写し出す広大な山や空の中に、自分が存在していられることが誇らしい。こんな風に思えるなんて嘘みたい。
「撮られるの、ちょっとサマになって来たなー」
「ホント?俺、柊の役に立ってる?」
「立ってる立ってる。お陰で新しいプロジェクトも始動した」
柊の指差す先で、井本さんと横山さんがミーチャとフェイを採寸してる。
「うちの子たちのギャラは高いからね~」
「オトモダチ価格でよろしく。ロジェとニコルも参加してよ」
「じゃあアレックスとカインも」
「サイズが間に合わない……それにレオナルドが拗ねない?」
「う~ん。じゃあ来年の夏は、全員で碓氷村に行く。全員分なんか作って」
どうやらジュニアラインのモデルさんを西川家のお子さん達で引き受けてくれるもよう。バンクーバーに戻ったらまた撮影が待っている。すげー楽しい。嬉しい。
「次の夏、雄星のスケジュールも押さえないとな」
「は」
多分、ここ数日で一番笑ったかも知れない。
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