愛さえあれば

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  「次はCMの撮影……?」 「JS航空、冬のカナダ線のCMです。明後日はカルガリーに向かいます」 カルガリー。親父が滑った五輪の夢舞台カルガリー。これぞカナダなカナディアンロッキーを背景にCMの撮影。それってスゴくない……?いつの間にそんな恐ろしいことに。 「ブラックダイヤモンド(超上級者コース)ですけど太一くんなら問題ないと思います。柊さんがリードしてくれますから目一杯楽しそうに滑ってくださいね」 「柊もっ!?柊もCMに出るんですか!?一緒に!?」 「そうです。二人のタンデム、さぞかし絵になるかと……太一くん、目がハートになってます」 柊と。柊と一緒に。二人で………!! 俺が中学くらいまでは、よくゲレンデの一番奥まで行って上級者コースを滑って遊んだ。大きなジャンプもターンもなく山の中をただ滑り降りるだけなのに、柊の背中を追いかけて行くことが楽しくて仕方なかった。 『柊ー!速すぎるー!待ってー!』 『そこのコブ!クセある!気をつけて!』 転倒して、雪まみれになった俺を柊が抱き起こしてくれて。あの頃は柊の方がずっと体が大きくて……頼ってばかりだった。ヨシヨシって頭を撫でられるのが大好きだった。 柊とタンデム。あのときめきが蘇る………!!
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