愛さえあれば

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  「太一くん太一くん。仕事ですからね?しかもJS航空は柊さんの大口スポンサーです。日本の大手企業なんです。うちやJIBの関係者ばっかりだった昨日今日とは状況が全く違います。柊さんと太一くんが恋人同士なことも、西川さんと東海林さんが結婚されてることも極秘事項ですから心してください」 一瞬で血の気が引いた。そのあたり、これまで偏見なく受け入れてくれる人達ばかりに囲まれてたから調子に乗っていた。 「すみません……浮かれて。邪魔にならないようにちゃんとします」 「素直ですね、太一くんは」 森さんは今や兄のような存在になった。最初に会った時、ドレッドだし足首に靴下みたいなタトゥーはあるし、絶対怖い人だと思ってたけど……優しくて頼りになる。俺の担当になってくれた時に潔く丸刈りにした髪型も、今は少し伸びてサラリーマンみたいになってまるで別人。不思議な空気は変わらないけど。 「僕ね。柊さんと太一くん、カップルで好きなんです。本当にお似合いだからこそ変な横槍を入れられたくないんです」 「……はい」 「お互いを潰し合うような恋愛は大人として如何なものかと思いますし、担当としても手を打つんですけど。二人の場合はプラスに働いてますもんね。お互いを高め合って……そう言う関係は素敵だと思います」 俺はそんな風に捉えられる森さんが素敵だと思います。いつか言おう。 「柊さんは決めるとこは絶対決める人ですし、太一くんも多分そうです。信頼してます」
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