愛さえあれば

3/37
前へ
/367ページ
次へ
  俺の知る限り、JIBの曲って歌詞の四分の三以上、もしくはフルで英語なのに。それで全然支障なかったのに。ご丁寧に手書きの訳詞まで添えてある。ホントは有り難いのかも知れないけど、とにかく恥ずかしくて目が滑る。共感する暇がない。 「直訳だとビミョーにニュアンス変わっちゃうから、太一くんには特別に僕の自筆、オリジナルの歌詞あげる~~☆」 「自筆………」 「うん!自筆~☆」 西川さん、日本語書くの苦手なんだな。所どころ解読するのが大変だ。 ただ、ヘッドホンから聴こえるメロディーが、声が演奏が、なんかスゲー。まじでホントにすげー。心臓を直に掴まれて揺さぶられるみたい。どんどん、本当に空へ飛んで行けそうなほど引っ張られる。何なんだこの感覚。そして音が一瞬ブレイクした後の、サビが来たところでブワッと鳥肌が立った。本当に髪が逆立つんじゃないかってくらいブワッと。 うわ ─────。 ぞわぞわしてるっ。俺、めっちゃぞわぞわしてるっっ。 「西川さん……天才……」 「褒められた☆嬉し~~っ☆」 右腕に絡みつかれて肩を頭でグリグリされる。照れてるのか。可愛らしい、てゆーか微笑ましい人だ。 「ねぇ太一くん」 「はい」 「あの輝き続けてる人、飛ぶみたい」 「え!」
/367ページ

最初のコメントを投稿しよう!

311人が本棚に入れています
本棚に追加