ことの発端

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社内一と名高く自他共に認める顔の端正な、総称イケメンと言われる同僚に終業後社内線で呼び出されたのは、利用率は高くない北棟4階の休憩ブースだった。 呼び出された時は、場所も場所だしごく僅かの業務連絡くらいしかした事がなく、正直あまり接点無いのになんの用だろう、と疑問に思いながらも、すぐに帰れる準備をしてから北棟に向かう。 休憩ブースに着くと、呼び出した本人はすでに来ていて、紙コップのコーヒーを啜りながら資料を読んでいるところだった。 そんな姿さえさすが女子が騒ぐだけある、横顔から整っている。 しかし、部署だって全然違うし、話した事も数回の業務連絡しかない。そんな相手が鹿原を呼ぶ理由は見当たらない、恐らく。 鹿原が来たことにまだ気づいていないようで声をかけるべきか迷っていると、資料から顔を上げぼうっとした顔をしている彼とちょうど目が合ったため、ぎこちなく会釈してから、互いに目を逸らした。 捻り出したとして、呼び出した理由は、 ーーー恐らく…声をかけて来る理由は一個しか思いつけない、宮田先輩絡みとしか。 鹿原の編集部には、尾ひれはひれ付きまくった結果難攻不落と噂されているとても美人な宮田という名の編集者がいるのだが、その人と接点を持つために鹿原はよくいろんな人から協力を求められる。 ただこのイケメンがわざわざ鹿原を呼びつけてまで接点を持とうとする様な人には思えず益々疑問だ。 しかし、宮田先輩以外では接点が一切思いつかないのだ。
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