ことの発端

4/7

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
もし仮定として、だ。 彼が宮田に関しての要件で呼んだとした場合でも、偏見だがなんだか意外で。鹿原を呼び出した彼はどちらかというと綺麗系の女の子がタイプっぽい(完全なる偏見)のに、宮田は小柄で気が強い系美人である。見た目で判断するのはいけないだろうけど、ーーーやはり意外だ。 とはいえ社内一イケメンの彼と美人な宮田が並んで歩いていたら、それはそれでかなり豪華な画になりそうだが。 とりあえずまだ要件が切り出されないので手持ち無沙汰になり鹿原も自販機で紅茶を買い相手の一つ挟んで斜め前に座る。にしても呼び出しておいて彼は一向に話し出す気配がない。先程確かに目が合ったので鹿原に気づいているはずだし、向かいに座っているチラリと確認しそっと鹿原から話しかけた。 「あの、内線で呼ばれた用事…僕でよかったですか?」 啜っていたコーヒーを下ろし、ようやく鹿原に向かって顔を上げてくれた。それは同性でもドキっとするような整いようで…ではなく、彼はじっと鹿原の目を見たままで口を開く気配はない。 「えーっと、…間違いでしたかね…?あの、帰ります、ね」 ただじっと見つめられ、居心地が悪く身じろぎするが反応が無いので、鹿原は飲みかけの紅茶の蓋を閉めて立ち上がった。まあ、宮田が好きなので協力してくれ!とは、そんなに親しくない同僚に直ぐには言えないだろう。そう鹿原なりに気を使って休憩所を後にしようと立ち上がった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加