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女が振り返る。目鼻立ちのしっかりした、気の強そうな顔をしている。女は脇に抱えた、荷物がパンパンに詰まったドラムバッグに手を入れ、なにやらカサカサ音のする黒い薄っぺらい物体を取り出すと、広げて私に差し出してきた。受け取ったそれは、黒いビニール袋のようだった。四十リットルはあるだろうか、核家族なら一週間分の家庭ごみが入りそうな、大きな袋だった。
どうしてゴミ袋を渡されたのか尋ねようとするが、やり取りをあらかじめ予想していたかのように発せられた一言によって、自然に遮られた。
「グッドラック」
彼女の握られた拳から突き立った、親指の先を見る。
そこは、ワークという金属の材料をコンベアからパレットチェンジャに移し変える工程の作業場だった。人が立ち入らないように、自動倉庫を背にして三面を安全柵が囲んでいる。私達は自動倉庫に面する安全柵に設けられた開き戸から、作業場の中に足を踏み入れていた。
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