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金属部品の多くは、マシニングセンタと呼ばれる、あらかじめ作成しておいたプログラムに従い工具で加工する機械によって、自動的に作られる。もちろん、鋳造、プレスのような成型加工や、町工場で使われる旋盤による加工もあるが、目的や規模によるので、それはひとまず置いておく。加工後には、加工した部品と次に加工するワークを交換する必要があるのだが、この工場ではパレットチェンジャと呼ばれる装置が使われていた。パレットチェンジャは料理で例えるなら、メニューごとにまな板を交換することに似ている。私は包丁で具材を切り分ける調理人、すなわちマシニングセンタだとしよう。具材をビニール袋から出す準備の作業と、切った具材を鍋に入れる作業を別の人間が分担してくれるのなら、私は切ることだけに専念して、効率的に調理を行うことができる。同様に、ワークが固定されたテーブルを交換することで、機内でワークを交換するよりも、スムーズに
マシニングセンタで加工ができる。
この工場ではワークは自動倉庫に保管してあり、必要な分だけ取り出しているようだ。取り付けるのは、産業用ロボットの仕事である。まるで人間の腕のように、複数の関節と手を持ち、搬出口のコンベアから流れてきたワークをパレットチェンジャに付け替える。
絶えずワークを取り付ける必要があったのだろう。そこには、コンベアの搬出口が二つあり、それぞれに人の背丈ほどあるロボットが備え付けられていた。どちらもコンベアの左側に設置されている。ロボットは回転する台座と、上腕と前腕から成る二つのアームを持っている。モーターは各関節に全部で六個取り付けられており、六軸の自由度を持つ腕は、ワークをあらゆる姿勢で取り付けることができる。
二台のロボットは止まっていた。人間がハイタッチをしているかのように、互いの長い腕を掲げて、手を合わせていた。左右対称に固まっているそれらは、綺麗に三角形を形作っていた。
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