恋夢

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恋夢

 「ごめん、待たせたね」  「……あ、だ、大丈夫だよ」  遠くから走ってきた男に、急に声をかけられて、私はビックリした。  男は、背が高く、短く整った髪、手足が細長く、私の理想の男性でした。  この男が、今夜の恋の夢の相手のようです。  「それで、どこに行きたい?」  「そうだな……水族館に行きたい」  「水族館か……いいね。それじゃあ行こうか」  男は、私の前に手を出した。  その手を私は握り、男は私の手を引く。  誰かと手を繋ぐなど、本当に久しぶりのことで、私は緊張していた。もともと、人見知りな性格をしていることもあるのだが、私は胸のドキドキが男にバレていないか、手汗でビショビショなことに気づかれていないか、そんなことを考えていた。  「なんか、手を繋ぐ――って、いいよね?」  「え!?」  「だって、二人が繋がっているみたいで、凄く嬉しい気持ちになる。ところで、さっきから緊張して、ドキドキしてるのは、バレてないよね?」  「……ふ、アハハハハ」  男の言葉に、思わず笑ってしまいました。緊張していたのは、私だけではなかったようで、安心しました。  そして、素直で可愛らしい男のことは、私は好きなっていました。     
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