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――サチとの出会いは、中学生のとき。
一人ぼっちの私に声をかけてくれたのがサチだった。
別に私は一人でも良かった。
孤独にはなれているから。
でも、サチは笑顔で近づいてきた。
それが私にはとても怖かった。
なんのメリットがあって私に近づくのかわからなかったけど、サチいわく、友だちになるのは損得関係ないらしい。
私は損得でしか人生を歩んでこなかったから、信じられなかった。
サチは誰にでもいい顔をするから、一部の女子には嫌われていた。
でも私はそんな八方美人な彼女が好きだった。
私にはできないから。
そういうと嫌味っぽく聞こえてしまうが、これは褒めている。
誰がどう思うのかは勝手だが、笑顔を誰にでもふりまけるのは簡単なことではないということを私は知っている。
*
ミドリは私の憧れだった。
思えば、私には友だちがたくさんいた。
それは男の子ばかりだったけど、私にはとても大切な友だちだった。
ミドリのことを好きな男の子はその中にもたくさんいた。
ミドリは男の子なんかに興味なさそうだったけど、私はみんなに好かれるために頑張っているのに、涼しい顔をして、男の子に好かれるミドリが、妬ましかった。
……羨ましかった。
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