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二つの少女の物語
あの子は言った。
「自由で羨ましい」
は?誰が羨ましいって?
サチは、私が欲しいもの全てを持っていた。
仲の良い家族、素敵な彼氏、たくさんの友人。
私は、何一つ持っていない。
自由なのは、誰からも心配されていないだけ。
私は、高校を卒業してからはアルバイトに励んだ。
そして、二年の月日が経った。
フリーターという名の者のまま……
大学に行ってない者の宿命なのだが、就職か結婚かをかんがえる時期は常だ。
夢もなく、彼氏もいない私にはどちらも何もない気がした。
追い討ちをかけるように、サチは結婚報告をしてきた。
「ミドリ、私ね、結婚することになったの」
私にはどうでも良いことだと思った。
なぜ、友人であるサチにこんなに冷たいのか自分でもよくわからなかった。
サチと私は、久しぶりにカフェでモーニングタイムに食事をした。
サチから誘ってきたのだ。
バイトがある私は、バイト前に朝食がてら、サチの話に耳を向けた。
サチは私に申し訳なさそうに、目を逸らしながら、結婚のことを話している。
私にはそれがまた憎たらしかった。
嬉しいんでしょ?
ならなぜ、幸せそうに話さない。
*
ミドリがいつも羨ましくてしょうがなかった。
クールで美人で、いつも一匹狼で。自由。
なのに、なんであんなにいつも不服そうなの?
何がそんなに気に食わないの?
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