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肉を計量し、肉種を選択するとラベルが2枚印刷される。
それを真空パックと、それを入れる段ボールに貼り付けるのだが、鈴木の手元の台紙には3枚のラベルがあった。
見たところ結束された段ボールに貼り忘れはないようだ。
「……確認するから、箱あけて」
「え、なんで?」
「ラベルが1枚余ってて、段ボールには全部貼ってあるってことは中身に貼り忘れがあるってことでしょうが」
「あ、そっか」
これで管理する側に回って大丈夫なのだろうか。
もう何だったか忘れてしまったが最初に失敗したときに「わからないことはしなくていい」と言ったと思うのだが、何故か鈴木はちょこちょこ手を出しては毎日なにかしらやらかしてくれた。
『わざとやってんじゃねぇだろうな』
思わず疑いたくもなる。それくらい鈴木のつるんとした顔には申し訳ないという表情は全くなかった。
わざとかどうかはともかくとして、なめられている。
風待も、風待のやっている仕事も。
どうせ一週間の付き合いだ。仕事を覚えさせても仕方がない。それにちょっと先に入って特に専門性のいらない仕事をおぼえたというだけで、鬼の首を取ったように年上の男をがみがみ叱るのもなんだか恰好が悪い。
などと中途半端なことを思っていたらこのざまだ。
後悔先に立たず。最初にもっとビシッと上下関係をはっきりさせておけばよかった。この男がどんなに鈍感でも伝わるくらいビシッと、だ。もう今更だが。
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