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ハンカチを水で湿らせて、紅茶の染みのついた部分をエリックは軽く叩きながら、そこから伸びた細く白い華奢な脚が伸びているのを目の当たりにし、溜息を吐いた。
ジュリアン様が男だって分かってても、ドキドキさせられる時があるんだよなぁ。
そりゃ、宮廷中の貴婦人だけでなく、貴族達からも色目で見られるわけだよ。リアム様と出会われてからは、ますます色香が溢れてきてるし。
ジュリアンは染み抜きをするエリックを見下ろし、少し顔を赤らめながら尋ねた。
「そ、れで、リアムがどうかしたの?」
今すぐにでも聞き出したい興奮する気持ちを押さえつけ、冷静を装って尋ねたつもりだったが、まったく隠しきれていない。
「ほら、最近こっちに全然顔出さないでしょ、リアム様」
「うん……」
エリックの言葉に落ち込む。
そう、もうずっと長い間リアムの顔を見ていない。
せっかく、リアムと想いが通じ合ったと思っていたのに……
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