ウォーターサーバー

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 その友達の様子がおかしい。他の友達からそんなことを言われたのがそれからおよそ一ヶ月後。俺も色々忙しいので聞き流していたら、違う友達からも似たような発言をちょくちょく聞くようになり、ついに、最後の対面からおよそ半年後に再会した友達は、どこからどう見てもまったくの別人になっていた。  髪形や服装を変えた、程度では説明がつかないくらいの面変わり。それでも声をかければ確かに相手は友達だ。でも、時々おかしな返答が混ざる。そして、用事かあると言われて早々に別れることになった。その後はまったくの音信不通で連絡が取れない。  今頃になってだけれど募る疑問。あの時会ったアイツは、本当に俺の知ってる友達だったのか?  それを思うたび、アイツの家で飲まされそうになった水の中に浮いていた目玉のことを思い出す。  あの水を飲んでいたせいで、友達は本人とは違うとしか思えない何か変わってしまったのだろうか。もしかしたら俺も、あの日あの水を飲んでいたら、今頃違う何かになってしまっていたのだろうか。  それを確かめる術はないけれど、友達のことは悔やまれても、あの日差し出された水を飲まなかった。その点については、俺は俺を心から称賛してやりたい。 ウォーターサーバー…完
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