ウォーターサーバー

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ウォーターサーバー

 友達の家を訪ねたら、キッチンにウォーターサーバーが置かれていた。  俺の知らない知り合いが熱心に勧めてきて、そうまで言うなら使ってみるかと試したら、想像以上に食事の味わいに影響が出て、今はもう手離せないらしい。  そうまで友達が絶賛するウォーターサーバー。あまり健康的な食生活とかには興味がないし、そこにかける金もないけれど、こうまで推奨するなら一度くらいその水を味わっておくのもいい。  サーバーから組まれた水を笑顔で受け取り、コップを口元へ運ぶ。その時、俺は例えがたい違和感に、口をつける寸前でコップを止めた。  注がれた水間表面に、目玉としか言いようのない物体が浮かんでいた。  そいつが俺をじっと見つめ、こちらが見ていることに気づいたかのように慌てて視線を逸らす。それでも偽用紙を続けていたら、そいつはコップの水に溶けるように消えた。  こんな水、飲める訳がない。  それでも友達はこれを『美味い水』と信じ切っているから、俺はうっかりを装ってコップの水をこぼし、おかわりは飲んだフリでシンクに流した。そして、ありもしない用事をでっちあげて早々に友達の家を離れた。
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