奇妙なカメラ

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「ちょっと待った。なんだか手続きがややこしそうだな」  いくら若い女と結婚できるといっても、そのためにひどく苦労するのはいやだと思う、自己中心的なタクローだった。 「んーと……ま、少しは……。でもだいじょうぶ、そんなに難しくはないから」 「そうか……じゃ、なにをすればいいか言ってくれ」 「簡単よ。これからわたしの言う場所に言って、写真を撮ってくればいいの」 「なんだ、そんなことか」  タクローは拍子抜けした。もっと難しいことをやらされるのかと想像していた。おとぎ話にあるような、どこか遠いところへ行って、なにか珍しい品を取ってこなければならないとか──。そんなできそうもないことを言われてしまったら、即、カメラは叩き売る気でいた。
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