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そして、
「ここ……」
タクローはアイリの言う建物を見た。大きな門の向こうに校舎が見えていた。五階建ての、有名建築家が設計したような、洗練されたデザインの校舎だった。屋根の上の巨大なパラボラアンテナが、花のお化けのようだった。
「わたしの通っていた大学です」
「大学……」
タクローはつぶやいた。自分の人生にはまったく縁のない場所だった。
「これを撮影するのか?」
「はい。ここから撮影してください」
「わかった」
タクローは、門とその向こうに建つ校舎にカメラを向けた。門を出入りする小綺麗な服装の学生たちが、ゴミをよけるようにタクローから距離をとって通り過ぎていくが、気にせずシャッターをきる。
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