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「あんたは……」
タクローは感慨深い気持ちで言った。
「ちゃんとした学歴があって、まともな人生を歩んできたんだな……」
「えっ? ……ええ、まぁ……」
「おれとは大違いだ」
「そんなこと……!」
「学校生活になじめずに、とりあえず高校へは入ったが中退して、以降フーテンなんだぜ、おれは」
自虐的に苦笑するタクローに、アイリは反射的に否定しそうになったが、それ以上はなにも言わず、
「次に行ってください」
ぽつり、と事務的に告げた。
アイリにかけられた魔法は、こうやって過去の思い出の場所を集めることで解けるということだった。
今度は二時間ほど歩いた。
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