写真を撮って

8/9
前へ
/27ページ
次へ
 手前の駐車場から見上げて、タクローは尋ねる。 「ここは……もしかして、おまえの家なのか?」 「うん、そう……」 「じゃあ、ここにはおまえの家族も住んでるんじゃないのか?」 「うん……いるよ……」  意外なことを言われたかのように、アイリは歯切れが悪い。 「もしかして、おまえがカメラのなかに閉じ込められているのを、家族はだれも知らないんじゃないか? きっと心配してるだろう。そんなおまえがおれと結婚したら、どう思うだろうな……それでもおれの女房になるっていうのかい?」 「…………」  アイリは、なにか言いたいことを言い出だせないように見えた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加