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「無理しなくたって、いいんだぜ。考えてみりゃ、おれなんかに、こんな棚ボタみたいな幸運がやってくるわきゃねぇんだ。ま、暇つぶしにはなったけどよ」
たとえ妻になってくれなくても、女を助けられたのだから。本物のアイリに会えるだけでも楽しみだった。
「おじさん……」
「ん?」
戸惑いの表情を見せたアイリだったが、なにかを追い払うかのようにかぶりを振ると、
「これが最後です。このマンションを撮ってください」
タクローはドキドキしながらシャッターボタンを押した。アイリが目の前に現れることに大きな期待を寄せながら。
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