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それでもアイリの心は痛んだ。アイリのことを想ってくれるリョウスケとの板挟みだった。
「こんな呪われたカメラなんか」
リョウスケは道路に向けてカメラを放り投げた。カメラは車道に落ち、やってきたクルマに無慈悲にも踏みつぶされて粉々になった。
「きゃあ!」
アイリは悲鳴をあげ、リョウスケに抗議する。
「なんてことするのよ。あのおじさんが──」
「あのまま放置したら、またいつかほかの親切な人がカメラの中に閉じ込められてしまう。こんどは幼い子供かもしれない」
リョウスケはアイリの言葉をさえぎった。
「でも……でも、ひどいよ」
「いつかこの連鎖を終わらせなくちゃならないんだ。そのためにもおれが鬼になってここでこうしなくちゃならなかったんだ。あのホームレスを犠牲にしたことで世界中から非難をあびたって、おれはかまわない。きみさえ救けられるなら、おれはどんなことでもする」
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