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アイリの細い両肩を力強くつかみ、リョウスケは再び触れ合えた喜びを噛みしめるかのようにもう一度抱きしめる。
「ずっと待っていたおれの気持ちがわかるか? つらくてしかたなかった。それをこれからもほかのだれかに味あわせてしまっても、きみはなんとも思わないかい? それとも、永遠にカメラに閉じ込められたままがいいとでも……?」
「そんなこと……」
アイリはリョウスケの気持ちを理解できた。信頼のおける恋人。この世で出会ったもっとも愛しい男性。
リョウスケに抱きしめられながら、アイリはぼんやりと、車道に散らばる金属破片が、道行くクルマのヘッドライトを反射してきらきらと光るのを見た。天に昇った命が夜空に瞬く星々の輝きになる、というのを思い出させた。
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