希望はかなえられた

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「でも、なにも壊さなくても……」  リョウスケの体温を感じながら小さくつぶやいた。渇望していた恋人の腕のなかにようやく戻れ、その現実が心を安定させるはずなのに、とめどもなくあふれ出る涙はうれし涙だと思いたかったのに──。  アイリは嗚咽のなかで小さくもう一度つぶやいた。動いた唇から出た言葉は、車道を走るクルマの音にかき消された……。 〈終〉
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