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すると──。
「ここです」
またも声がした。女の声である。
心当たりがあるとすれば、カメラのなかの女の子だ。でも、まさか──。
いや、考えられないことはない。音声がいっしょに記録されていたのかもしれない。
だがそれではタクローの言動を見て呼びかけることなどできるわけがなかった。
それに最初に聞こえてきたのは、「助けて」だった。少なくともタクローにはそのように聞こえた。切羽詰まった何事が起きているというのだろうか……。
「こっちよ」
また聞こえた。たしかに手に持っているカメラから声がしたようだった。
半信半疑でタクローはカメラを調べる。液晶画面を見た。
「そう、わたしよ」
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