1・当然です

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只今の時刻、PM10時。課長付きの事務補助の私は、課長自ら残業をしている為、帰れない。もちろん、仕事だから仕方ないのだが。……しかも急ぎだから余計に仕方ないんだけど! 「大北? 疲れたか? 悪いな」 溜め息をついたのを見られてしまい、課長が言う。 「少しだけです。すみません、課長こそお疲れなのに」 「いや。俺の仕事だ。大北を巻き込んで悪いと思ってる。……あとこれだけだから、もう少し頑張ってもらえるか?」 「もちろんです。残業手当、きっちり貰えますよね?」 「当たり前だ。ブラック企業じゃないからな」 課長に確認すれば、課長はニヤリと少し悪役っぽく笑った。でも、この人、こんな笑顔でさえ人を惹きつけるんだよね。今時のイケメンというより、昔ながらの美男子だが、まぁ要するに顔が良い人は得である。 「大北、確か、営業一課の原と付き合っているんだったか? 今日は金曜なのに悪いな」 「課長までご存知ですか」 私は頬を痙攣らせた。 「給湯室のOLさん達は、噂話が大好きみたいだからな。俺がコーヒーを飲もうと給湯室に向かうと、噂話で盛り上がってる。あと、女子トイレと女子更衣室が凄いらしいな? 三課の吉井が言ってた」 成る程。社内の噂話発信所ベスト3で聞いたなら知ってるはずだ。
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