2.平穏を望む。

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2.平穏を望む。

「日和、これは?」 「あー……そっちに運んでくれる?」  了解、そう言って綺麗な顔立ちをした男はダンボールを運ぶ。  彼の名前はチヤ。先日からうちに住み着いて居る男である。  父の死の報せから一週間経ったあの日、扉を叩き私に接触して来た彼は「お前を守りにきた」と言った。何を言ってるんだこの男は、そう思い帰って貰おうと思ったが男の様子が尋常じゃない事が伝わり、取り敢えず話を、と家の中に入れた。そこから始まる男の話。父の死の真相が分かってしまった話。  父は軍の研究施設の開発者であった。なんでもAI搭載の人型ロボット、つまりはアンドロイドを作っていたらしく。父も最初は世のためになるなら、と作っていたらしいが軍がそのアンドロイド達を戦争に投入し始めたらしい。父はそんな話は聞いていない、と軍の上層部に抗議。しかし軽くあしらわれ終わった。そして父はアンドロイドの制作を拒否。稼働している全てのアンドロイドもストップさせようとしていた。軍の上層部はそんな事を認めない。しかしアンドロイドの造り方も止め方も知って居るのは父だけ。ならこれ以上の数は望めなくても、今存在するアンドロイドを失う事は止めたい。     
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