3.二週間。

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3.二週間。

 チヤと暮らし始めて二週間。色々と気づいたことがある。チヤは案外子供っぽい。子供っぽいというか、博識であるのに常識的な事を知らない。  まず私がお風呂に入っていても用があれば普通に入って来る。男女だどうのとアンドロイドに言ってみてもしょうがないとは思うが、それでも「男性」として造られたチヤにいきなり入られたら吃驚する。もうやめてほしい。  次に人は睡眠がいるという事を知らない。私が眠りについていても何か不審な事があったり用があれば起こして来る。勘弁してほしい。そういう事を注意し教えながらの生活は疲れるが……ちょっと楽しかったりする。  チヤは教えればちゃんと学習していく。さすがアンドロイド。その教える、というのが楽しくなり、博識なチヤが知らない事を教える事にやりがいを感じてしまう。 「日和は、色々知ってるな?俺の知らない事ばかり教えてくれる」 「いやいや、あのね、チヤ。普通は知ってるような事だからね」  そう言えばチヤは「……そうか」と少し落ち込んでしまった。慌てて私は「チヤが知らないのはしょうがないよね! だってずっと軍の研究所に居たんだし!」と言ってフォローをする。チヤは「日和には世話になるが、また色々教えてやってくれ」と言った。そう、チヤは負けず嫌いなところがある。 「ふふ、勿論だよ。これから一緒に暮らすんだから」  私がそう言えば、チヤはきょとんとした顔をする。どうかしたのかと思い、首をかしげる。 「一緒に暮らしても、いいのかと……」 「今更何をいってるの。もう二週間だよ?」 「それはそうだが……」 何を今更遠慮してるのか。このアンドロイドは。そんな事を思いながらチヤのひんやりとした手を握る。 「!」 「これからもよろしくね?チヤ。何事もないのが一番だけど、私を守ってくれるんでしょ?」 チヤの目を真っ直ぐに見ながら問う。チヤの答えなんてわかってる。彼の答えはきっと出会った日から変わらない。それでも彼の口から聞きたい。 「俺は日和を守る。……絶対に」  出会って二週間。心を許すには短い時間かもしれない。それでもそのチヤの言葉がとても心強く、私の心を潤した。
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