2:問診

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 先生が分かりやすく、嬉しそうなのが見えた。顔がニヤついているのが隠し切れていない。そんなカリア先生に、マミさんはうえっとするような顔をした。 「それでは、準備をしてきますので、マミさんはこちらに上がってください」 「......」  先生が指し示す椅子は昔、先生がどこからか貰ってきた診察椅子だ。黒い合成革に覆われたその椅子は、なぜかところどころに拘束バンドがついている。それらを使うと、椅子に座った人は足を大きく開かされて、古い生物の教科書の解剖図のように固定されるのが直感的に分かってしまう。マミさんは露骨に不安そうな顔をした。しかし、そんなマミさんを置いてカリア先生は奥へと向かう。  ガチャリ。奥へと続くドアが閉まって、カッカッカ、と足音が響く。
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