愚鈍な王

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「して、ウォーカーよ。これからどうする?」カクメイと名乗った王は言った「まず、飢えを凌がねば。村に向かおう。どの村も飢えてはいるだろうが、少しは備蓄があるだろう」は(やはり民は飢えているのか。私は愚鈍だったのだろうか)と落ち込みながらも「うむ!飢えは恐ろしい。当然解決せねばならん。向かうぞ村へ!」そう元気よく言った。ウォーカーは落ち込んだり、元気になったりしている王に少々の疑問を抱きつつも「...行くか」反対されなかったので村に向かうのであった。一時間ほど歩いただろうか。王がカクメイになった場所。先ほど二人が出会った場所から程近くに村はあった。 「ずいぶんと...なんというか...」 「荒れてるな」 村には人が居るようには見えなかった。木々は枯れ落ち、水は一滴も見つかりそうに無かった。痩せた土地であるように見え、村があるとは思えなかった。「とにかく村人を探そうぞ。見つからねば...また次だな」王は言った。期待はもう出来そうにはなかったが。しかし...「おーい旅人さん!何のようかえ?」老婆の声がした。この呼び掛けにウォーカーは「ここに!僅かで構わん!食糧を分けてくれまいか?」と言った「かまわない...かまわないよ。こっちにおいで!」老婆はそう言うと、野に向かい駆け出した「追うぞ!カクメイ!」「げ、元気な奴だ。まぁよい。行くぞ!」二人はこの老婆を追った。すると野に何か穴が空いている。穴を見た王はゾッとした。骨だ。無数の骨があった「なぁ...ウォーカー?我々...食べられたりせんよなぁ?」「そんなことは無いだろう」王だけは食べられないか心配しつつも老婆を追った。暫く追うと老婆は 「着いたよ!」大きな声で言った「穴しかないが?やはり我々を...」王は不安になった。こんなところでは終われないからだ。しかし、ウォーカーは周りを見渡すと納得したように「やはり...凄まじい生命力だな」と言った。老婆は「この中じゃ!中にある!行くぞ...」 そう言うと老婆は穴に飛び込んだ!「じ、自害か?」「そんなはずはないだろう。我々も向かうぞ!」二人は飛んだ。王は堅い地面にぶつかると思ったが...プヨン!何かで跳ねた。そのまま着地したのは緑のマット。自然の緑を使い、 作られた天然のマットだった。
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