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「私たち、一生檻の中で生きるしかないのかな」
「……分からない」
「そんなことないでしょ。答えてよ」
「分からないよ。でも……」
僕は、言う。
「そんなことないって信じたい。そう思ってくれるなら君も……またいつだってここに来たらいい。僕も一緒にいるから」
すると、後ろで「うん」と、アスカさんが言うのが聞こえた。……あそこの空気が、アスカさんに良くないのは知ってる。でも僕は信じたかった。たとい空気が悪くたって、しっかり根をはってたあの花みたいに、きっとアスカさんも僕も、生きていけるんだと、僕は信じていたかった。
僕の首筋にぬるい水滴が落ちた。
もしかして、何かの原因で天井から水が漏れているのかもしれない、と僕は思った。僕は背中のアスカさんに言った。
「天井から水が漏れてる。アスカさん、上の方を照らしてくれない?」
すると、アスカさんの手は、僕の目の前で懐中電灯の照らす向きを変える……ただし、予想外の方向に、だ。
アスカさんが照らしたのはあろうことか、僕の顔だった。
「うわっ」
眩しくて目を瞑った。そして僕は背中に乗っていた重量が、急にいなくなるのを感じた。……どうやらアスカさんは僕の背中から降りたらしい。
「何するんだよ。……もういいの?」
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