「エスケイパー」

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 アスカさんは、背負っていたリュックを降ろして、ファスナーを開いた。そして、中に手を突っ込んでゴソゴソと、何かを取り出そうとした。  アスカさんがリュックの中から取り出したのは、小さめの水筒と、スナック菓子の袋だった。 「お菓子食べていい?」 と、アスカさんは僕に訊く。別に急いでいるわけでもなかったし、僕は「いいよ」と言った。  アスカさんは、袋を開けて、スナック菓子を頬張り始めた。僕はその様子を、横から見ていた。 「クラスのマドンナが、ポテトチップス食べてる」 僕はなんとなく、茶化すように、そんなことを言った。するとアスカさんは、どこか不満気に「いいでしょ」と言った。 「家じゃ、滅多に食べられないもん」 アスカさんの家は、お金持ちの家。結構厳しい家だった。  アスカさんは、僕に訊いた。 「ね、イルカくんって、どうやってここを見つけたの?」 「……どうやってもなにも、片っ端から街中を調べて、外に出れる道を探してたら、あのマンホールを見つけたというだけだよ」 「へぇ」 アスカさんは、水筒から水を一口飲むと、次の質問をした。 「どうして外に出たいの?」 僕は、少し考えた。そして、自信を持ってこう言った。     
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