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…なんだか長い夢を見ていた気がする。
そう、終わりのない旅をする夢だ。
どれだけ歩いても変わることのない景色、質感、感情。
そもそも自身には備わってなかった筈の感情だ、そんなものいつのまに身に付けたのだろう。
重たい瞼を上げた時、私は無機質な部屋の硬いベッドの上に横になっていた。
『起きたようだね、◯◯』
夢の中で聞いた優しい声だ。
私を見下ろすこの人物は誰なのだろう。
『今日から僕が君の友人だ。』
友…人…?
友人とは何だ?
『とても仲良し、ということだよ。◯◯』
◯◯とは私のことか?
『良い名だろう?嫌かい?』
嫌ではない、ただ変な感じがする。
『まぁ、そのうち慣れるさ。じゃあ、◯◯も起きたことだしゴハンにしようか』
あぁ、
長い夢から覚めた彼女は新しくできた友人に着いて行く。
これから続く長い人生を共に生きる為に。
その過程できっと、忘れてしまっている何かを思い出すこともできるだろう。
きっと、きっと…
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