プロローグ

12/13
8668人が本棚に入れています
本棚に追加
/396ページ
慣れているのか、ただごちそうしたいと思っているだけなのか。 考えは読めそうにない。 それでも自然と嫌な気分にはならなかった。 マスターがチョイスしたカクテルを掲げて乾杯。 たいした会話を交わすことなくそれぞれにグラスを傾ける。 いつもより少し多く飲んだせいかふわふわした気分で席を立った。 今日はこれで帰るつもりだった。 足元がおぼつかないわけではないけれど、ヒールを履いているせいで歩きにくい。 それを察知したように後ろを通り過ぎようとした私に、男はそっと手を指しだした。 「ありがとう。それと、ごちそうさまでした」 .
/396ページ

最初のコメントを投稿しよう!