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エレベーターに乗ることなく、こちらに向かってくる人物がひとり。
「喜川君、おはよう」
子犬だったら尻尾を千切れるほど振っているだろう姿が想像できる。
私が出勤してくるのをここで待っていたのだろう。
由紀といい喜川といい、月曜日から元気が良すぎる。
「白石さん、相変わらず懐かれてますね」
「まぁね」
同僚が通り過ぎざまに冷やかしていった。
ずば抜けてなにかに秀でて居るわけでもない私に、どうして後輩が懐くのか不思議なのだろう。
出来れば私もその理由を知りたい。
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