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「ありがとう」
まるでボールを取ってきて褒められた犬のように満面の笑みを浮かべる喜川を、どうやら由紀は気に入らないらしい。
「私の方が近かったら押せてたんだから」
「俺の方が手足が長いからな」
「身長差はわかるけど、足の長さは負けてないから」
なにを張り合っているんだと呆れてしまうけれど、このふたりは確かに手足が長い。
しかも喜川は183センチで由紀が176センチと、172センチの美桜よりも背が高い。
思わずお似合いのふたりを見上げた。
「ちょっと大木でも見るみたいに見上げないでくださいよ。私はヒール履いてるだけですから」
もっと身長差があるように感じられたけれど、由紀が10センチのヒールを履いているせいだったらしい。
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