第1章

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無意識に自分の足元を見てため息が出た。 3センチヒールで足に負担がないぶん、スマートとは言い難いパンプス。 納得しているとはいえ、少し寂しい気もする。 9階でエレベーターを降りた後も、なにかにつけて張り合いながらオフィスに向かって歩くふたりの姿が微笑ましい。 後ろから眺めながら歩いていると、ふたりは振り返ってこう言う。 「この話の分からないやつに言ってやってくださいよ」 「この話の分からない人に言ってやってくださいよ」 そういうところまで似たもの同士で、結局笑うしかない。 納得していないふたりの背中を押してオフィスに入る。 化粧品メーカーのせいか女性の比率が割と高い。 .
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