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「初めまして、小田切といいます」
「……あ、初めまして、白石です」
思わず挨拶を忘れてしまうところだった。
というのも、先週末いつものバーで会った男が目の前にいて、笑顔で名刺を差し出していたからだ。
初めましてと言ったところを見ると、先週会ったことに気がついてはいないらしい。
それでもいつ気が付かれるかと思うと心拍数が上がる。
「白石さん、どうかしました?」
「いえ、なんでもないの」
由紀に声を掛けられて我に返ると、もうひとりとも名刺の交換をした。
まさかこんなに近くにいる人だとは思わなかった。
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