第1章

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「初めまして、小田切といいます」 「……あ、初めまして、白石です」 思わず挨拶を忘れてしまうところだった。 というのも、先週末いつものバーで会った男が目の前にいて、笑顔で名刺を差し出していたからだ。 初めましてと言ったところを見ると、先週会ったことに気がついてはいないらしい。 それでもいつ気が付かれるかと思うと心拍数が上がる。 「白石さん、どうかしました?」 「いえ、なんでもないの」 由紀に声を掛けられて我に返ると、もうひとりとも名刺の交換をした。 まさかこんなに近くにいる人だとは思わなかった。 .
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