第1章

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固い握手を交わして小田切たちを見送った。 「ところで、美桜さんはCMに出てた時もめがねしてたんですか?」 「しないわよ」 「データが残ってないなんて残念です。リアルタイムで見てたはずなのに、私も全然覚えてないんですよね」 「それでいいのよ」 消したい過去。 誰にも思い出されないように、私も思い出さないように全てを断ち切った。 めがねを掛けたのも、髪を纏めるようになったのもそのため。 「ずっと思ってたんですけど、美桜さんどうしてコンタクトにしないんですか?」 会議室を片付けながら喜川が今更な質問を投げかけた。 .
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